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純の恋人
第2章 三人の男
「純、怪我も良くなってきて退屈だろ? 暇つぶし、持ってきた」
松永さんは、必ずお見舞い品を持参して来てくれる。大抵は消え物だけど、今日は本だ。毎日、しかも私の気持ちを見透かしたかのように欲しい物を持ってきてくれるのは、彼が本物の彼氏だからなのだろうか。
「ありがとうございます、松永さん」
「さっき看護師さんから聞いたんだけれど、来週には退院出来るんだって? 良かったね」
「はい、しばらくは通院しなきゃいけないんですけど、このままの経過ならもう入院は必要ないって」
「退院したら、実家に戻るのか? その……僕が口を挟むのもなんだけれど、両親とは冷え切った仲だろう? 心配だな」
「いえ、記憶をなくす前は一人暮らししてたそうなので、そちらに戻ります。以前と近い場所にいた方が、記憶も戻りやすいかもしれないですし」
すると松永さんは、私の頭を撫でて苦笑いする。
「それはそれで心配だな。今の純は、中身が高校生くらいなんだろう?」
「お姉ちゃんが様子を見に来てくれるそうなので、大丈夫です」
「真子が? そうか」