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純の恋人
第7章 真実の破片
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だったら、そんな危険な橋を渡らないで、地道に検証していけばいいのかもしれない。歌えなくなるといっても、今の私にそこまで思い入れはないし、仕事にしなくたって趣味で歌い続ける事は出来る。
「……私、記憶の件で好きな人を疑うのは、もう嫌です。歌うと約束するなら、協力していただけるんですよね?」
「それはもちろん。一度交わした約束を反古にするような、醜い真似はしませんよ」
遠回りすれば、きっと結論は見つかる。それでも私は、早く真実が知りたかった。状況だけで、イドさんや国重さんまで疑ってしまう今の自分が、嫌で仕方ないのだ。私が同意し頷けば、若頭は爽やかな笑みを浮かべた。
「あなたなら同意してくださると思いました。ありがとうございます」
同意しなきゃいけないような状況まで追い詰めておいて、そんな言い草。人が良さそうに見えても、やっぱりこの人は裏世界の人間だ。
「では、今日の夜さっそく田中 翔に接触しましょう。あなたが一人で夜の街を歩くのは危険ですから、自宅まで迎えをよこします」
「そんな、そこまでしていただかなくても」
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