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純の恋人
第2章 三人の男

けれど松永さんは嫌な顔をするどころか、見た事もない爽やかな笑みを浮かべた。
松永さんとの時間は、本当に穏やかで安心できる。欠けた心は埋まらないけれど、この人とはこの先も話が出来る仲でいたいと思えた。
もっとも、過去の私が三人の男の人を弄ぶような人間だったならば、記憶を取り戻した瞬間彼は去っていくのだろうけれど。
松永さんは、それほど滞在時間も長くない。私に今の社会がどれだけ変化しているのかを色々教えてくれて十数分、それで席を立つ。
「じゃあ、そろそろ行くよ。退院の日、正確に決まったら教えてくれ。家まで送るから」
「私の家、知っているんですか?」
「当たり前だろ……恋人だからな」
松永さんはそう言うけれど、私は送り迎えしてもらえるような関係だったのだろうか。記憶の戻る気配は、今日もなかった。
二人目、昼休みを利用して病院までやってくるのは、宮城 昌哉さん。普段は建築現場で働いているらしい彼は、いつも太陽の匂いがする。けれど私は、あまりこの人が好きではなかった。
「……はっ、ぁ」
来るなりカーテンを閉めて、貪られる唇。ベッドに縫い付けられた私に、逃げ場はない。

