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純の恋人
第9章 彼の本性
「ったく、カナタといいミヤといい、アンジュをなんだと思ってるんスか。女は男の所有物じゃねぇっス! 非礼を詫びるなら、土下座で謝罪に決まってるっス!」
「え、あ……成実さん?」
「でも土下座じゃオレの気は収まらねっスから、アンジュが許すって言うまで尻叩きっス。ほら、尻を出すっスよ!」
迫る成実さんに、ミヤはじりじり後ずさりする。暴力はいけない、私は慌てて間に入ると、両腕を広げて成実さんを止めた。
「待って、いいんです! ミヤをしばきたい訳じゃないんです!」
「そっスか? アンジュさんがそう言うなら……」
成実さんが拳を下ろすと、私は振り返り、ミヤに訊ねる。
「嘘を吐いたのは恋人だって事だけって、信じていいんだよね?」
八つ当たりしてしまったけれど、私が知りたいのはそれだけだ。馬鹿な事を受け入れて、後悔したのは私自身の弱さ。それはミヤと関係のない話なんだから。
「……ホントだよ。俺、何も知らない……」
病院に来なくなったのは、恋人だと嘘を吐いた事で、事件でまで怪しまれるのを恐れたんだろう。身勝手だけれど、理屈は通っている。