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純の恋人
第9章 彼の本性

どうしてこの時点で、晴久さんが私を恋人扱いするのかが分からない。父に素性を聞いたとはいえ、警察にまで駆け込まれたというのに。頭がくらくらして、気が遠くなる。
「でも、昼間会いに行こうと思ったら、純ちゃんに変な男が纏わりついててさ。初めは誰かと思ったよ。まさかカナタが男で、純ちゃんのストーカーだなんて思わなかったし」
「カナが、ストーカー?」
「純ちゃんは覚えてないだろうけど、あいつ彼氏面して純ちゃんに近付いてきたんだよ。酷い時には、キスを迫ったりとか。純ちゃんは逃げてくれたからよかったけど……オレ、すごい危機感抱いた。時間なんかたくさんあるし、ゆっくり関係を育めばいいと思ってたけど、誰かが牙を剥いたら純ちゃんが汚されるって」
晴久さんの表情は本当に悲しそうで、心から私を心配しているようだった。でも、次に出てきたのは、心配とは正反対の言葉である。
「だから、早く純ちゃんをオレのものにしなきゃって、すぐ追い掛けた。覚えてないかな、純ちゃんと初めてエッチしたの、ホントはその時なんだよ」
その時――つまり、それは事故の前の日の晩。私の記憶は未だに固く鍵が掛けられているけれど、何をされたかは覚えている。

