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純の恋人
第9章 彼の本性
「純ちゃんと会ってから、全部上手くいくようになってさ。受験も合格したし、友達も増えたし。でも、マスカレードが休止しちゃって、困ってたんだ」
「私が吉川純だって……どうやって知ったんですか?」
「オレが落ち込んで大学の勉強も身に入らない、って知った純ちゃんのお父さんが、教えてくれたんだよ」
病院と父は、献金で繋がっている。病院の関係者である晴久さんが真面目にならなければ、後に父も困る。だから私の活動を否定していたくせに、あっさり正体を教えたんだろう。
「純ちゃんの素顔とか、住所とか、そういうものはその時知ったんだ。素顔も可愛くて、オレはますます純ちゃんが好きになったよ。気持ちを手紙に書いたんだけど、でも返事が来なかったんだ」
「それは……そうでしょう。私は、晴久さんの住所を知らないはずですから」
「そう、オレも舞い上がっちゃって、それを忘れてたんだよ。ちゃんと住所教えなきゃダメだと思って、純ちゃんの後を追ったんだけど、時間が悪かったのか、警察に駆け込まれちゃった時もあったっけ。あの時はごめんね、いくら恋人でも、夜中に声を掛けられたら、変質者だと誤解するよね」