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純の恋人
第2章 三人の男
閉めたままのカーテンから、気まずそうな顔を覗かせる、ピンクの頭。慌てて涙を拭いて顔を上げる私に、彼は労るように声を掛けた。
「あのさ……余計なお世話かもしれないけど、嫌な事を無理矢理されたなら、訴えた方がいいと思うよ?」
私がここで何をされたのか、彼は知っている。そんなはしたない事を知られたなら、もう死ぬしかない。私がとっさに、近くにあったボールペンを手に取り喉へ突き刺そうとすると、彼は慌てて私の手首を掴んで止めた。
「待って、早まっちゃいけない! せっかく助かったのに、死んじゃったら駄目だよ!」
「離してください!! 私なんて、死んだ方がいいんです!」
「――死ぬなんて、軽々しく言うな!!」
彼は暴れる私をベッドに押しつけると、怒鳴りつける。私はそこで気付いた。彼が着ているのは、病衣。見た目からすれば、怪我ではない。彼は何か病に犯され、この場にいるのだと。
「……すいません」
彼が怒るのは当然だ。気まずい中心配して声を掛けてくれたのに、無神経な事をしてさらに失礼を重ねてしまった。けれど彼は嫌な顔一つせず、安堵の表情を浮かべた。