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純の恋人
第2章 三人の男
「分かってくれたならいいよ。オレこそ、こんな時にごめん。でも、聞いてる限り合意ではなさそうだったから、つい」
「……あの、あなたは?」
私は彼の手首を見て、首を傾げる。入院患者が付けるはずの、本人確認のためのリストバンドを付けていなかったのだ。視線に気付いた彼は苦笑いすると、私の手首を離し、自分の手首を握った。
「あれ、囚人みたいで嫌になるから千切っちゃった。皆知らないけどさ、この病院、実はリストバンド強制じゃないんだよ。嫌ならしなくてもいいんだけど、なんとなく皆素直に付けちゃうんだよね」
「不便じゃないんですか?」
「大丈夫だよ。オレこの病院長いし、こんな頭してるから、すぐ皆に覚えてもらえるもん」
確かに、ピンクの髪は目を引きつける。リストバンドもないし、病衣を着ていなければ、患者さんとは誰も思わないだろう。天真爛漫な話し方も、悲壮を全く感じさせない。そんな彼の病院生活が長いなんて、運命は残酷だ。
「だからね、オレが話すれば、皆味方してくれるよ。弱っている女の子に無理矢理変な事するなんて最低だし、ね?」