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純の恋人
第3章 刑事 国重一
二人組の男性は、厳めしい空気を醸し出していて怖い。私が戸惑っていると、スキンヘッドの男の人が懐に手を入れた。
「失礼、私達はこういう者です」
拳銃でも取り出しそうな人の手に握られていたのは、警察手帳。顔写真も確かにその人で、本物の警察官のようだった。記されている名前は、坂本吉行。厳つい見た目の割に、声は高めで柔らかな口調だった。
「お話中に悪いんですが……少し、お時間をいただいても?」
「え? でも、私……」
「大丈夫、あなたの事情は聞いていますし、難しい話ではありません。そちらの彼は……少し、席を外してもらってもいいですか?」
口調と外見が全く合っていない坂本さんは、ちらりとイドさんに目を配る。するとイドさんは立ち上がり、私に手を振った。
「じゃあ、後で来るから。またね、純ちゃん」
気を遣ってくれたのか、イドさんは向かいのベッドではなく部屋を出て行く。空いた丸椅子に坂本さんが座るけれど、もう一人の刑事さんはその横に立ったままだった。
「今のは、病院で知り合ったお友達ですか?」
「は、はい。見た目はちょっと変わってますけど、とてもいい人です」