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純の恋人
第3章 刑事 国重一
「そうですね、とてもあなたに優しい目を向けていました。青春ですね」
私の気持ちを見抜かれているのだろうか、坂本さんはからかったような笑みを見せる。私は恥ずかしくてうつむくけれど、緊張は程よく解れていた。
けれど緩んだ気持ちは、もう一人の刑事さん――眼鏡の人の言葉で、一気に沈む。
「記憶がなくなったってのに、随分楽しそうだな。そんなに尻が軽いから今回みたいな目に遭うんじゃないのか?」
明らかに悪意のある、尖った言葉。初対面の人に突然向けられる刃に、私は唇を噛む。すると坂本さんが眼鏡の刑事さんの頭を叩き、一変して彼を怒鳴りつけた。
「それが被害者に掛ける言葉か、馬鹿野郎が! それがテメェの駄目なところだって、何回言えば分かるんだ、ああっ!?」
やっぱり、坂本さんも怖い人かもしれない。私が膝を抱えて縮こまると、坂本さんはさっきの恫喝などまるでなかったかのように笑った。
「申し訳ありません、女の子の気持ちも分からない唐変木は、後でちょん切っておきますから」
「は、はあ……」
「さて、あまり長居しても申し訳ないので、本題に入りましょうか」