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純の恋人
第3章 刑事 国重一
スポットライトを浴びていたのは、ピンク色の髪をツインテールにして、黒いドレスを身に纏い、パピヨンの仮面を付けてギターを握る女性。歓声を浴びて揺れる彼女は、大きく息を吸い真っ直ぐな声で歌い始めた。
『真夜中に鐘は鳴らない ケイトは眠る時間でしょう?
シンデレラも知らない 午前0時の舞踏会
歌いましょう 偽りのまま
踊りましょう マスカレード
仮面の下 気持ち隠しているからこそ 口に出来る事もある』
フラメンコみたいにスカートをひらひら踊らせながら歌う彼女は、大胆に足を上げ空を蹴る。その瞬間露わになった左足の太腿の内側には、ほくろが一つ見えた。
セクシーな彼女の足に、前列の男性達が喜びの叫びを上げる。熱気に飲み込まれた私は、再び砂嵐の中へと投げ出されてしまった。
「――っ!!」
次に意識を取り戻した時、そこは病院だった。日は落ちて夜になり、人の山なんてどこにもない静かな病室。唯一そばにいたのは、すっかり見慣れたピンク色の髪の持ち主、イドさんだけだった。
「純ちゃん、大分うなされてたけど大丈夫? 具合悪いなら、お医者さん呼ぼうか?」