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純の恋人
第3章 刑事 国重一
「大丈夫、純には俺がついてる。いや、俺だけじゃない、翔さんだって雅樹さんだって、純の姉ちゃんだってついてるだろ? そんだけの人がついてるんだから、悪い事になんてならないはずだ。だから、純――」
ミヤが何か続けて話しているのに、視界がぶれる。砂嵐がノイズと共に現れて、その先を隠してしまう。
目を開いているのに、何も見えない。耳を澄ましても、声は聞こえない。砂嵐に囲まれた私は、立っているのか座っているのも分からない。もがき足掻いても、どこかに沈んでいく。息苦しくて、気が遠くなる。
闇雲に手を伸ばしたその時、指先が何かに触れた。張り詰めた、細い糸……だろうか。それを弾いた瞬間、ノイズとは違う音が、遠くから聞こえた気がした。
私はもがくのを止めて、体の力を抜く。そしてただ、混沌から抜け出す指標に耳を傾けた。
銀色の月が昇るような、切ないギターの調べ。星が瞬くように、シンバルが共に続く。そして一瞬の静寂の後、魂を揺さぶるドラムの咆哮が砂嵐を一気に散らした。
目の前に広がるのは、もう教室じゃない。狭いライブハウス、ロリータやパンクな衣装に身を包んだ人の山の中。