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純の恋人
第1章 欠陥品の彼女
 






 私には、記憶がない。正しく言えば、中学校卒業以降の記憶が抜け落ちている、といったところだ。両親の話によれば、大学まで進学していた私は通学中、交通事故に遭ってこの病院に運ばれたのだそうだ。そして、その時の衝撃で一部の記憶を失ってしまったんだとか。

 この前まで高校生活に期待を膨らませていたと思っていたのに、突然大学なんて言われても分からない。大学は休学扱いになっているらしいけれど、退院後に戻っても、勉強についていける気がしない。記憶が戻らなければ、多分退学する事になるだろう。

 そんな私が厄介なのか、一度話したきり、両親が見舞いに来た事はない。着替えなどを持ってきてくれるのは二つ年上の姉だった。私が覚えている記憶では、姉の方が冷たくて、両親とは良好な関係だったのだけれど。私の知らない間に、何かがあったのかもしれない。

「純ちゃん、可愛い。下も脱いで? 一番気持ち良くしてあげる」

 ここの病院は、裏にある森と広場が繋がっている。もちろん森は立ち入り禁止、あくまで自然を目にする事で癒やしを求めるのが目的なんだろうけど、隠れて色々するには都合のいい場所だった。
 
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