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純の恋人
第4章 そして誰もいなくなった
記憶にないが、私はストーカーに遭っていたらしい。国重さんが言うには、容疑者は三人。私の恋人だと名乗った男の人達だ。
ストーカーが私を轢いたのだとすれば、通報の際ゴタゴタしていた暴力団は何だったんだろう。偶然なのか、必然なのか。それともストーカーがたまたまで、私が別方面から恨まれていたのかもしれない。例えば、どうやら決して清廉ではない、父の関係者とか。
ひき逃げと暴力団とストーカー。繋がるものは見つからない。繋がりがあるのかどうかすら分からない。
放っておけば、身に危険が起きるのは私自身だ。けれど私は、あまりに重すぎる事実から逃げ出したかった。
冷たく眼鏡を光らせる国重さんの顔を見ていると、強くそう思ってしまった。
「……あの、特にお話がないなら、無理に来ていただかなくても。刑事さんって、忙しいですよね」
朝一番でやってきた国重さんは、昨日と同じスーツ姿で、窓際に立っている。せめて座ってくれればいいのに、威圧感は二倍にも三倍にもなってのしかかっていた。
「俺だって来たくて来ている訳じゃない。看護師連中から、お前の遊び相手だと好奇な目を向けられるのも不愉快だ」