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純の恋人
第4章 そして誰もいなくなった
「それは、一体なんなの? ミヤ、教えて」
宮城さんが全部知っている、という事は、多分他の二人も知っているはずだ。私が叱られてもなお奮起して、父と仲違いしてまでも貫こうとした、何かを。
「ごめん、それは言えない。今だから言うけど、俺達純の父親に色々口止めされてんだよ。純に会うのを認める代わりに、純の記憶に関する事は一切話すなって。話したせいで記憶が戻ったら、権力使ってこの街から消してやるって」
「お父さんが?」
「これは俺の予想だけど……今の純って、ようするに父親の言いなりだった頃の純だろ? 思い出されるとまた反抗されるから、忘れたままでいてほしいんだと思う」
ここでも、父の力が絡んでいた。ひき逃げの隠蔽といい、怪しい事この上ない。でも、一つはっきりした。私の記憶は、父にとってよほど不都合なんだろう。
「だから、純が自分で思い出さないと話せないんだ。ごめん……力になってやれなくて」
「ううん、ありがとう。ミヤのおかげで、色々分かった。それともう一つ、人から変な噂聞いたんだ。私の事故、事件だったかもしれないって」