この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
純の恋人
第4章 そして誰もいなくなった
「いや、お前に危険な捜査を頼んだのは俺だ。上手くやれだなんて、無茶を言ったな。悪かった」
「謝る必要なんてないです! 国重さんがお休みを潰してまで捜査しているのに、私が何もしないで見ているなんて出来ません。私の真実を取り戻すための捜査です、私が動かなくてどうするんですか!」
つい声を荒げてしまうと、国重さんは目を丸くし、私の顔をまじまじと見つめる。
「お前……朝に会った時とは、大分顔つきが違うな。協力すればするほど、嫌なもんを見るんだぞ? それでも、頑張れるのか?」
確かに朝は、国重さんに失礼な事をしていた。向かい合う勇気がなくて、逃げたくて、仕方なかった。
「……私が逃げたら、国重さんの思いが無駄になってしまいます。そんなの嫌です。頑張ります!」
向かい合ってみると、やっぱり国重さんの目は冷たい。でも、私の心は燃え上がっている。たとえどんな怖い事があっても、凍り付く事はない気がした。
「その言葉、信じていいんだな?」
「はい! 私は今日から国重さんの相棒です、信じてください!」
私は胸を叩き、宣言する。逃げたいだなんて、もう考えない。逃げたら辛い思いをする人がいるんだから。