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純の恋人
第4章 そして誰もいなくなった
「とうとう明日退院か。寂しくなっちゃうな」
イドさんは足をブラブラ揺らしながら、溜め息を漏らす。あまり元気がなさそうだけれど、本当に明日一緒に来て大丈夫なんだろうか。本人は大丈夫だとしか言わないけれど、不安だった。
「イドさん。体調悪いなら、休んでた方がいいですよ? どうせ私はしばらく休学ですし、たくさんお見舞いに来ますから」
「体調は大丈夫だよ。けどさ、最近の純ちゃん少し変わったから、置いてかれそうで」
「変わったんだとすれば、それはイドさんが側にいてくれたからです。イドさんと会わなかったら、私多分、三人の男の人のプレッシャーに押しつぶされていました」
「そういえば、そんな三人もいたね。結局三人とも来なくなっちゃったけど」
私はイドさんに、事故が事件かもしれない事は話していない。事件の事を知る国重さんが来る時は、イドさんは毎回気を遣って席を外してくれる。そんな彼が事件だと知ってしまえば、きっとイドさんは私のために色々動いてしまう。心配はこれ以上掛けたくなかったのだ。
「やっぱりさ、恋人だなんて嘘だったんだよね。そうだろうと思ってたよ」