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純の恋人
第4章 そして誰もいなくなった
「でも、知り合いだったのは本当みたいですよ」
「それとこれとは話が別だよ。純ちゃんが分からないのをいい事に、嘘つくなんてマジ最低! もうあんなのとしゃべっちゃダメだよ、純ちゃん」
「は、はい」
頷いてはみたものの、事件の事がある以上、きっと私はまた彼らに会わなきゃいけない。素直に心配してくれるイドさんには申し訳ないけれど、この場は誤魔化すしかなかった。
「オレはさ、嘘つかないからね? 知らないうちに変な記憶刷り込ませようとしたりなんて、絶対しないから」
「そもそも、イドさんがそんな事する理由ないじゃないですか。会ったのだって、この病院なのに」
「それはそうだけどさ、オレ的なけじめ! 約束する、嘘なんてつかないし、純ちゃんが記憶取り戻しても絶対好きなままでいるし、ああそれと、オレもすぐに退院して純ちゃんの後追っかけるし、それから――」
唸りながら語るイドさんを見ていると、温かい気持ちが湧いてくる。恋人だと名乗った三人は多分、ただの恋人や友人じゃない。だとすれば、私はいい加減自分の気持ちを正直に打ち明けてもいいような気がした。