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純の恋人
第4章 そして誰もいなくなった
「ごめんなさい……」
「ううん、それを承知で側にいるって決めたのはオレだから。だから、さ。純ちゃん、オレだけの純ちゃんになってくれるなら、それが一番嬉しいよ」
イドさんは私を抱き締めて、背中をさする。見た目はどちらかというと可愛らしい感じだけど、触れ合う体はやっぱり男の人だ。ますます心臓が高鳴って、気絶してしまいそう。
「明日……家に帰ったら、オレだけの純ちゃんになって。もう誰が触っても感じないように、純ちゃんを縛りたい」
縛るだなんて、物騒な言葉。でもイドさんの口から聞くと、ぞくりと走るのは快感だ。
「――はい」
指切りだけでは物足りなくて、私達は指を絡ませながら口づける。誤魔化しじゃない、真剣な気持ちを酌み交わすキスは、足の指先まで痺れる。明日、私はこの人のものになる。待ち遠しくて、体が疼いた。
病院という檻から放たれるまで、あと一晩。外の世界がどう変わっているか、不安がない訳じゃない。ストーカーがまた動き出すかもしれないし、私のこれからはまだまだ前途多難だ。けれど今は、なんでも上手くいくような気分だった。