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純の恋人
第4章 そして誰もいなくなった
「イドさん」
声を掛ければ、イドさんは小首を傾げて耳を傾ける。
「まだ私、分からない事がたくさんあります。それにけじめをつけるまでは、あまり浮かれてはいけないです。記憶が戻ったら、私がどう変わるかも分かりませんし。でも……今の私は、イドさんが好きです」
顔に熱が集まり、心臓がばくばくする。気持ちを伝えるって、こんなに勇気のいる事だっただろうか。ちらりとイドさんを見れば、彼は頷き、私の言葉を受け入れようとしている。その態度がどれだけ私を安心させるか、彼は気付いているだろうか。
「過去に私がどんな人間だったかは分かりません。未来どうなるかも分かりません。それがイドさんを傷つけるかもしれないけれど、それでも今……イドさんに甘えていいでしょうか」
「……オレさ、正直言うと、悔しかったよ。純ちゃんが三人に逆らえないまま、抱かれてたの。絶対そんなの嘘だから止めろって言いたかった。けど、純ちゃんの過去を知らないから、嘘かどうかはホントのところオレは分かんないし、純ちゃんがそれで説得出来ないのは分かってた。間違ってるって思うのに、助けてあげられない自分が、悔しくてしょうがなかった」