この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
純の恋人
第5章 三人の正体

久しぶりに見た街の景色は、変わっているようで変わっていない。実家からさほど離れていないところに部屋を借りていたのは、今の私にとっては有り難かった。見慣れたビルは、少しだけ色褪せている。通り過ぎる車は、コンパクトでシャープになっている。行き交う人達は、今年の流行りなのか背中を見せる洋服が多い。
「純ちゃん、あんまりキョロキョロしてると危ないよ」
イドさんが注意して私の意識を引き戻してくれるけど、すぐにまた視線は移ろってしまう。
「お姉さん、住所からすると、純ちゃんのマンションってこっちですよね。そっち行くと、逆方向ですよ?」
「え? ごめんなさい、私方向音痴で、いつも道間違えちゃうんです」
姉は姉で先を行くわりに、どこかずれている。イドさんは小さな溜め息を漏らすと、私達姉妹に指示を出した。
「純ちゃん、純ちゃんはオレと腕組んで! お姉さんはオレの後ろついてきてください!」
「……はい」
「ごめんなさい、イド君」
なんというか、イドさんには本当に申し訳ない。結局最後には、本来なら付き添いであるはずのイドさんが、私達をマンションまで誘導していた。

