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純の恋人
第5章 三人の正体
 
 久しぶりに見た街の景色は、変わっているようで変わっていない。実家からさほど離れていないところに部屋を借りていたのは、今の私にとっては有り難かった。見慣れたビルは、少しだけ色褪せている。通り過ぎる車は、コンパクトでシャープになっている。行き交う人達は、今年の流行りなのか背中を見せる洋服が多い。

「純ちゃん、あんまりキョロキョロしてると危ないよ」

 イドさんが注意して私の意識を引き戻してくれるけど、すぐにまた視線は移ろってしまう。

「お姉さん、住所からすると、純ちゃんのマンションってこっちですよね。そっち行くと、逆方向ですよ?」

「え? ごめんなさい、私方向音痴で、いつも道間違えちゃうんです」

 姉は姉で先を行くわりに、どこかずれている。イドさんは小さな溜め息を漏らすと、私達姉妹に指示を出した。

「純ちゃん、純ちゃんはオレと腕組んで! お姉さんはオレの後ろついてきてください!」

「……はい」

「ごめんなさい、イド君」

 なんというか、イドさんには本当に申し訳ない。結局最後には、本来なら付き添いであるはずのイドさんが、私達をマンションまで誘導していた。
 
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