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純の恋人
第5章 三人の正体

こんな大事な瞬間なのに、私の体は他の男の人を知っている。押し当てられる熱を、無意識に他と比べてしまう。誰が一番だとか、そんな事は関係ない。誰かを知ってしまっている、それが悔しくて、悲しかった。
「――純ちゃん?」
気が付けば、私は泣いていた。止めようとしても止まらなくて、手で目を覆う。
「ごめん、やっぱり嫌だった? 無理なら、止めよっか」
「違……違うです。私、自分が馬鹿で、嫌で……イドさんは、何も悪くないです」
「純ちゃんは馬鹿なんかじゃないよ? よく分かんないけど、自分を責めないで」
イドさんは自分のものがはちきれそうなのに、私のために腰を引く。そして安心させようと私を抱き締めて、頭を撫でてくれる。その優しさが余計に辛くて、ますます涙がこぼれた。
「……私、初めてじゃないんです。何も分からないからって、それが日常だったかもしれないからって、馬鹿な事しました。初めてが、イドさんだったらよかったのに……」
イドさんは全部知ってるけれど、謝らずにはいられなかった。どうして初めから、自分の気持ちへ正直にならなかったんだろう。いくら後悔しても、体は元に戻らない。記憶を無くしても、真実が変わらないように。

