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恋のたまご、割るのはダレ?
第2章 ブラックヒストリーというやつ



「ひ――?」



思わず叫ぶゆうみの口を、貴也は掌でふさぎながら、キレたように口走った。



「お前は……人の気も知らないで……っ俺によっかかったまま寝たり……変なエロ本を読ませたり……!」

「むがっ!じぶれーじじあうばべ――っえどぼんじゃばいばお――っ」



失礼しちゃうわね、エロ本じゃないわよ――と言いたかったが、貴也が掌で口を塞いでいる為に意味不明なうわ言にしかならない。

だが貴也は突然掌を離して、顎を掴み顔を近付けて来てこう言った。




「おい……キスさせろ」

「はっあああああ――?」




ゆうみはパニックになり、直ぐ様貴也の股間を蹴り上げた。



それは快心の一撃だったが、貴也には止めの再起不能に至らしめる一発だった様で、暫くうずくまり動けずにいたが、こんな台詞を呟きながら這って部屋を出ていった。



「ゆうみっ……
お前……あり得ねえ……マジで……あり得ねえ……っ」




この事があってから、貴也はゆうみの部屋に来なくなり、マンションのエントランスや通路にエレベーターで会っても無視された。


偶然顔を合わせてもそっぽを向かれるので、余程あの股間キック事件を貴也が恨んでいるのかと思っていたのだ。




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