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獣日和
第3章 浴室と淡い思い出
*
朝になり目を覚ますと、ふみはベッドの上でゆっくり体を起こした。
今日は二人と映画を観に行く約束をしている。
けれどふみの頭には昨晩の事が浮かび、……絶望感が一気に込み上げてくる。
(どうしたら良いんだろう。二人と、あんないやらしい事をしてしまうなんて……二人に合わせる顔が無い)
そのまま寝着から私服に着替えようとベッドから降りる。
すると同時にトントンと部屋の扉をノックする音が聞こえてきて、ふみははっと我に返った。
樹と桜太。ノックしたのはどちらなのか考える思考と、逃げ出さなければいけないと思う感情に変な緊張感まで沸き上がってきて、咄嗟にベッドへまた潜り込む。
その後部屋の扉が開き、樹の声が聞こえてくると。
「ふみ、映画観に行くぞ。早く準備しろ……って、まだ寝てんの?」
「…………」
自然と寝たふりをしてしまっていた。