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獣日和
第1章 はじまり
「急に言われても……私は二人の事、幼馴染としてしか見れないし……」
おずおずと、本音を漏らす。
実際20年間ずっと側にいて二人を異性として意識した事がなく、恋愛感情を抱いた事さえない。
二人には申し訳ないと思いながらも……ふみは深く頭を下げる。
「……ごめん、二人共……」
「指輪、受け取れないってこと?」
「うん……」
桜太の言葉にふみが返事をすると、二人は無言で指輪のケースを閉じた。
二人共、しょうがないと理解してくれたのかもしれない。
二人の姿に、ふみは視線を上げ、ホッとして息を吐こうとした。
……だが、それも束の間。
「……じゃ、こうしよう。俺達と一緒に暮らしてみて、好きになった方と結婚しろよ」
樹の言葉に、再び驚かされる。