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逆襲のフィメス
第10章 果てさせられて
 気がかりなのは先ほど見かけたキーラたちに連れ込まれていた奴隷二人のことだ。

 特に男の方。挑発されて今にも爆発寸前という感じだった。

(騒ぎになると人が集まってくるからな……そうなると厄介だぜ)

 とはいえ、そうなったらなったで、逆に死角はできるだろう。切り抜けられる自信はあった。ただ、面倒なのが嫌なだけだ。

(だがまあ、油断は禁物だ……)

 と、思った矢先だった。

「奴隷がどうしてここにいるの? 何者ですか、お前は!」

 背後から誰何の声。

(やっちまった……こりゃあ俺もいよいよヤキが回ったか?)

 ガックリと、しかし命に係わる事態でありながら、プレティディスの動揺は「落胆」程度だった。よほどの度胸であると言えよう。

 そして立ち止まり、両手を上げて恭順を示しながら冷静に考える。

(誰だコイツ……俺を見て名前がわからないとは……ここの者じゃないのか?)
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