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逆襲のフィメス
第11章 裸身の聖儀式
「……くっ!」

 ソフィアもラーナの狙いはわかっている。だが、長引かせれば武器の重量を差し引いても体力に勝るラーナが有利。彼女が採るべきは短期決戦だ。

 突き進んでくるラーナの剣先に意識を集中する。どちらのリボンを狙う?

 選択肢だ。
 敢えて二刀としたのはラーナに選択肢を与えて行動を縛る目的もあった。

 狙える標的が二本あれば、最後の瞬間までどちらに斬りつけるかを隠そうとするのが心理。
 それが動きの幅を狭めるのだ。

 ふ……っとラーナの切っ先が揺れるのを、ソファアはその青い瞳に捉えた。

(……右っ!)

「だあっ!」

 振られる大剣。
 狙われた右手の剣を大きく引いて、ソフィアはそのまま竜巻のようにくるりと体を回し、軽やかな踏みでラーナの懐へ潜り込む。

 ダンッ!

 跳躍。
 ソフィアが武舞台の石の床から、ラーナの手首、肩へと駆け上り、その肢体を青空の中へと吸い込まれるように舞わせた。

「くそっ!」

 文字通り予想の「上」を行く逃走経路にラーナは慌ててソフィアの姿を探そうと振り返る。
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