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逆襲のフィメス
第11章 裸身の聖儀式
 まともに顔を合わせることはできなかったが、どうにか立ち上がったラーナはソフィアと並んで立たされた。

 闘技場を囲む同期生たちから、二人の健闘に対して万雷の拍手が浴びせかけられる。

(見事だって? そんな事あるもんか……だが、いつか……いつかきっと、ソフィア……お前を……)

 胸のうちに渦巻く熱いものを鎮めようと天を仰ぐと、蒼穹は遠く手の届かぬ所にあった。

「夕刻にはエニミス女帝陛下の謁見があります。ラーナ、身を清めておきなさい」

「……わかりました」

 クイーントリスの指示に力なく答えるラーナ。

それを横目に、ソフィアは勝利の興奮のまだ冷めぬ体を持て余していた。

(ラーナは私に完敗したと思っているみたいだけれど……)

 それは傍目にわかる悔しがりようで明らかだ。

(でも……私が負けていてもおかしくなかった。ギリギリの勝負……私だって必死だった)

 そして掴み取った。
 この栄誉を。

 待ち望み、焦がれに焦がれたこの日の褒章を。

 クイーントリスがソフィアに向かって微笑みかける。

「……ソフィアには、卒業生を代表して聖儀式を執り行います。仕度をして、聖湯殿にて待ちなさい」

 ソフィアを讃える女将軍の誇らしげな眼差し。

 そう、自分は勝ち取ったのだ。
 この瞳を。
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