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逆襲のフィメス
第2章 美しき襲撃者
 地に転がった兵士が声を張り上げて危険を報せる。

 しかし、ラーナは動じなかった。男が迫るに任せ、充分に惹きつけた所でふっ、と腰を落とす。

 ハッと目を引くほどの長い脚を片方しなやかに伸ばし、開いた股間が地面すれすれになるほどにしゃがみ込む。激しい動きに、つるりとしたヒップの肉が小さく震える。それが一瞬。

 屈みこんだその身体に、勢い余ってつまずく格好となった男がバランスを崩してよろけ、そこへラーナの美脚が宙に半円を描いて蹴撃した。

「うがあっ!」

 うめきを上げて男が地に転がる。ラーナの蹴りには体格差を補って余りある技巧があった。屈伸の反動、そして遠心力を利したスピード。そこにひとつの無駄もなく全体重を乗せた一撃。狙いも過たず、耳の裏へと踵を叩き込み男の三半規管を狂わせる。

 だが、男のほうもたいしたものだった。取り落とした槍をすぐさま掴み、ジャングルに棲む猫科の猛獣、クーガスのように素早く距離をとって体勢を立て直す。さすがにふらついてはいたが、どうにか向き合う形を取り戻した。
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