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逆襲のフィメス
第13章 フィメス皇帝
 戦士たちを代表する二人は、校長のクイーントリスに付き添われ祭壇の石階段を上ってゆく。

 上りきったもうそこは、フィメス皇帝の御前となる。

 フィメス皇帝――フィメス人の中の唯一の男。もちろん、女しか生まれぬフィメスにあって、彼は生粋のフィメス人ではない。

 元はと言えば隣国ローメールの将軍である。歴戦の勇者であり、老練なる戦士だった彼は先の大戦においてローメールを攻めたクイーントリスに捕縛され、女帝エニミスと婚姻を結ぶことによって、祖国が属州となることなく戦乱を治めた。

 フィメスの女帝の婚姻が意味するものとは何か。その答えは玉座にある彼の姿が雄弁に物語る。

 フィメス皇帝は黒革の腰履き一枚という格好で、玉座に取りつけられた枷に手足を拘束されていた。

 その腰履きも前を開かれ、皇帝の局部が露わとなっている。

 ローメールの民がもしその場にいたのであれば、目を覆いたくなるような出で立ちであった。

 女帝の性奴。
 それがフィメス皇帝の役割。

 他国であればおよそあり得ない立場、そして情景であったが、女帝はもとより、王女も見習い戦士たちも平然としている。

 フィメスにおいて、これは当たり前のことなのだ。
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