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逆襲のフィメス
第14章 勃起堂々たる
 他国の者といえば性奴しかいないフィメスである。属領となった国の者とて好んで足を運ぼうとはしない。よほどの珍しい申し出といえよう。

「厚かましいお願いをしてしまい……」

 と、詫びを口にするカイオラルだったが、その態度はどこか慇懃無礼であった。

(気に入らねーな……)

 ラーナはそう思ったが、黙っておいた。ソフィアの様子をチラリと見る。しかし、クイーントリスをぼうっと見つめているだけの彼女からは、どう考えているかは、その読み取れなかった。

「それで、貴女達にフィメスを案内する役を命じます」

「ええっ……」

 ラーナは思わず声を上げてしまった。性奴の扱いなら学んだが、そうではない男の扱いなど知らない。

 どうしたものかと思った瞬間、隣りのソフィアが即答した。

「かしこまりました」

「……だあっ! 何言ってんだよ、この馬鹿!」

「クイーントリス様のご命令よ、ラーナ」

「だからって……」

(クソッ! クイーントリス教の信者かよ!)

 ソフィアの揺るぎない眼の色を見てラーナはそれ以上言うのをあきらめた。

「よろしい。では、数日の事ではありますが、頼みましたよ」

 クイーントリスはそう言って、ソフィアに微笑んだ。

「女帝陛下への申し出の件、この任務をやり遂げたなら私からも口添えをしてあげましょう」

 そう聞いてソフィアの顔が輝く。

「ありがとうございます!」

(だーっ……俺には何もナシかよ……)

 踏んだり蹴ったりだ。
 ラーナは不機嫌な顔を隠そうともせずに、カイオラルを睨んだ。

 しかし、そんなラーナの態度にはおかまいなしに、カイオラルは笑顔を作り礼を言う。

「よろしくお願いいたします」
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