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逆襲のフィメス
第15章 優等生の自慰
(この空気……そうだわ、朝、私が部屋に戻って来たとき、ラーナとカイオラル殿の間にもこんな不自然な空気があったわ)

 どうして部屋に錠を下ろしていたのかと問うソフィアをラーナは適当にはぐらかし、今日の案内はお前に任せたと言い置いて帰ってしまった。それで結局ソフィアは当たり障りのない街中を案内して一日を過ごしたのだった。

「どうされました……ソフィア殿?」

 カイオラルが静かに尋ねる。

「い、いえ……なんでもありませんわ。ご用はそれだけ?」

「はい、つまらぬ事で寝る前の時間をお邪魔してしまい申し訳ありませんでした」

「いえ、女帝陛下に失礼がないようにというお気遣いなのですから」

 ようやく立ち上がったカイオラルを部屋の外へと送り出しながらソフィアは思った。

 確かにこのローメールの男には、得体の知れない所がある。街を案内していてもそうだった。そつのない受け答えと質問をしつつ、頭の中では何か別の事を考えているような……。

 そばに居ると胸騒ぎを覚える。そんな不穏さが漂うのだ。

「……それではまた明日」
「ええ、明日はお昼前に迎えに上がりますわ」
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