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逆襲のフィメス
第16章 秘密の夜の姫
 そう、内容が内容なのだ。
 昨年、性奴の献上にフィメスに赴いた使者がンニス王女の侍女から受け取った手紙。そこには「フィメスをあけ渡す」と書かれていたのだ。

「……ではなぜ? 危険を冒してまでここまで来られたのですか?」

「興味を惹かれたからですよ、貴女という女性に。たいしたものだ、たったあれだけの一言で、一人の男を海を越えて寝所まで呼び寄せてしまった……貴女は」

 カイオラルの言葉に、王女もクスリと笑みをこぼした。

「貴方こそたいしたものだわ。無謀もいい所……気に入りました」

「では、私もお尋ねしたい……何故、と。祖国をあけ渡すとは尋常なことではありません」

「それは……」

 ンニスはようやくカイオラルの隣に腰を下ろした。見つめ合う二人の視線が絡まる。

「……フィメスの王女がどのように選ばれるのかはご存知ですか?」

「ええ。貴女はエニミス女帝陛下とは血のつながりがない。王女選定の年に生まれた赤ん坊の中から平等に選ばれたのだとうかがっております」

「そうです」
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