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逆襲のフィメス
第16章 秘密の夜の姫
 それはソフィアに教えて貰ったフィメスの社会制度のひとつであった。

 フィメスの市民には大きく分けてふたつの階級がある。乳母と戦士だ。

 フィメスの女は生まれてすぐに自分を生んだ女から引き離され、戦士学校へと入れられる。そこで乳母たちによって集団で育てられるのだ。

 生母が誰かという記録は残されないし、自分の生んだ娘のことを気に掛ける女もいない。母を知らず、それが当然という環境で仲間と育ち、そういうものとして子を産むフィメスの女たち。

 そして16の歳に卒業試験を受けて兵士となって成人のとして認められると、一年一度の精夜祭で、チリユコの実として収穫されたザーメンを恋人同士で使うことを許されるのだ。

 この精夜祭で身ごもった女は戦地から戻され出産をし、そのときに二つの選択肢が与えられる。乳母となるか、再び兵士として新たな任地へと向かうかだ。

 乳母階級は自由市民であり、戦士学校で子供らを育てる以外にも様々な職種があるが、一度の出産では就ける仕事は乳母だけで――それゆえ乳母階級と呼ばれているのだが――より上級の仕事をしたければ、何度か戦地へ戻って兵役と出産を繰り返さねばならない。

 この仕組みによって、フィメスは女だけでありながら、全市民が戦闘訓練を受けた超軍事国家足り得ているのだ。
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