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逆襲のフィメス
第17章 誘惑の淫売窟
「どこにも……部屋にいましたが?」
ケロリとした顔で答えるカイオラル。だが、行列の中のソフィアを見守る視線を外してラーナと合せようとはしない。
「とぼけんなよ、スパイ野郎……俺は昨日、お前の部屋まで行ったんだ。何べん扉を叩いても出てこなかったじゃないか」
「旅の疲れが出たのか、ぐっすり眠ってしまっていましたから……それは失礼しました。何か御用がありましたか?」
カイオラルは慇懃無礼な態度を崩さない。だが、最後にニヤリと笑って付け加えたのは挑発的な言葉だった。
「……それとも夜這いにでも?」
この反応にラーナは少し気を良くした。スパイ野郎と呼ばれたことへのお返しを装ってみせたようだったが、平静を装って挑発してくるということは、やはり隠し事があるのだ。この男が昨夜どこへ忍び込んでいたのかはどうでもいいが、弱みを握れた。
「おい、ちょっとこっちへ来い……」
ラーナは有無を言わせずにカイオラルの腕を取り、すぐ横の路地へと引き摺り込んだ。
「……お待たせ!」
そう言って、三本の大きな飴櫛を手にしたソフィアが戻って来た時、そこには二人の姿はなくなっていた。
ケロリとした顔で答えるカイオラル。だが、行列の中のソフィアを見守る視線を外してラーナと合せようとはしない。
「とぼけんなよ、スパイ野郎……俺は昨日、お前の部屋まで行ったんだ。何べん扉を叩いても出てこなかったじゃないか」
「旅の疲れが出たのか、ぐっすり眠ってしまっていましたから……それは失礼しました。何か御用がありましたか?」
カイオラルは慇懃無礼な態度を崩さない。だが、最後にニヤリと笑って付け加えたのは挑発的な言葉だった。
「……それとも夜這いにでも?」
この反応にラーナは少し気を良くした。スパイ野郎と呼ばれたことへのお返しを装ってみせたようだったが、平静を装って挑発してくるということは、やはり隠し事があるのだ。この男が昨夜どこへ忍び込んでいたのかはどうでもいいが、弱みを握れた。
「おい、ちょっとこっちへ来い……」
ラーナは有無を言わせずにカイオラルの腕を取り、すぐ横の路地へと引き摺り込んだ。
「……お待たせ!」
そう言って、三本の大きな飴櫛を手にしたソフィアが戻って来た時、そこには二人の姿はなくなっていた。