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逆襲のフィメス
第18章 媚肉と剣の女
「芸は身を助ける、じゃよ……フィメスにもまじない師は必要なんじゃ」
ンニスが言っていた王女選定のことだろうか。まあ、それ以外にも需要はあるのだろうが。
国民が皆兵士として育てられるこの国で、まじない師などという怪しい職に就くものなどそう多くはないであろうことは想像に難くなかった。
「ところでお前さん、どうするんだい? どこから来たのか知らないが、このまま男が一人で外を歩けば、少なからず面倒に巻き込まれるぞい」
それはカイオラルも考えていた所だ。
「……戦士学校の寄宿舎に泊まっておるのじゃろ? 使いをやって迎えを呼んでやろうか?」
「いえ……それでは彼女に迷惑がかかってしまう」
「ヒョーッヒョ! 優しいのう! あんなじゃじゃ馬は困らせてやったほうがええんじゃよ!」
老婆の口調に特にラーナを憎んでいるような所はなかった。むしろやんちゃな孫娘か何かに対する情愛のようなものが感じられた。
「ハハッ……まあこうなった以上はどうしようとも彼女は困った事になるのかもしれませんが……私も異国の地で騒ぎを大きくしたくはありません。なんとか一人で帰ってみますよ。道だけ教えてください」
「そうかい、そうかい……」
老婆はそれ以上は口出しするつもりはないようだった。
「ところで、婆さん……」
カイオラルはベッドから降りると、思いついたようにして内懐からある物を取り出して、まじない婆さんの前に差し出した。
「まじない師なら、この指輪……見たことがありますか? フィメスのものだと聞いているのですが」
それは以前、ソフィアにも見せた赤い宝石のついた指輪だった。
老婆は最初、何のことだかわからないといった顔で指を眺めていたが、突然思い当たったように目を丸くした。
「おお、おお! もしや、これは禁制にされた大導師様の……ワシも見るのは初めてじゃが……」
ンニスが言っていた王女選定のことだろうか。まあ、それ以外にも需要はあるのだろうが。
国民が皆兵士として育てられるこの国で、まじない師などという怪しい職に就くものなどそう多くはないであろうことは想像に難くなかった。
「ところでお前さん、どうするんだい? どこから来たのか知らないが、このまま男が一人で外を歩けば、少なからず面倒に巻き込まれるぞい」
それはカイオラルも考えていた所だ。
「……戦士学校の寄宿舎に泊まっておるのじゃろ? 使いをやって迎えを呼んでやろうか?」
「いえ……それでは彼女に迷惑がかかってしまう」
「ヒョーッヒョ! 優しいのう! あんなじゃじゃ馬は困らせてやったほうがええんじゃよ!」
老婆の口調に特にラーナを憎んでいるような所はなかった。むしろやんちゃな孫娘か何かに対する情愛のようなものが感じられた。
「ハハッ……まあこうなった以上はどうしようとも彼女は困った事になるのかもしれませんが……私も異国の地で騒ぎを大きくしたくはありません。なんとか一人で帰ってみますよ。道だけ教えてください」
「そうかい、そうかい……」
老婆はそれ以上は口出しするつもりはないようだった。
「ところで、婆さん……」
カイオラルはベッドから降りると、思いついたようにして内懐からある物を取り出して、まじない婆さんの前に差し出した。
「まじない師なら、この指輪……見たことがありますか? フィメスのものだと聞いているのですが」
それは以前、ソフィアにも見せた赤い宝石のついた指輪だった。
老婆は最初、何のことだかわからないといった顔で指を眺めていたが、突然思い当たったように目を丸くした。
「おお、おお! もしや、これは禁制にされた大導師様の……ワシも見るのは初めてじゃが……」