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逆襲のフィメス
第18章 媚肉と剣の女
 卒業試験のときとは違って、手にしているのは片手で扱える小ぶりのフィメス刀だ。

 電光石火の動きで二合、三合と打ち合う。

「へっ……しがない文官などと言っていたが、なかなかやるじゃないか」
「これでもローメールの現将軍の息子なのでね……」

 カイオラルの腕もなかなかのもので、目にも止まらぬラーナの剣さばきに難なくついてくる。

 しかし、フィメス刀の扱いにはラーナに一日以上の長があった。

 握りの部分についている「戦との婚約指輪」を巧みに使い、その部分でカイオラルの刃を防いでみせたり、殴りかかったりと変則的な戦法で翻弄する。

「そらそらっ!」

 そうして優勢に立ったラーナが、かさにかかって更に攻めたてようとしたとき、カイオラルが不意の蹴りを繰り出した。

「ぐほおっ!」

 腹のど真ん中にまともに喰らって、ラーナはよろけた。

「きたねえぞ!」

 野次が飛ぶ。

 しかし、フィメスの決闘作法において、それは汚いことではなかった。剣で勝負をつけなくてはならないということはない。それはラーナの戦い方からしても明らかであった。

 これはただのラーナびいきの野次であろう。
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