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逆襲のフィメス
第18章 媚肉と剣の女
「クソッ!」

 ラーナが毒吐く。危うい所だった。「戦との婚約指輪」に引っかけた指一本でかろうじて剣を取り落とさずに済んだ。

「なるほど、便利なものがついているのですね、フィメスの刀には」

 聞いたことはあったが、目の前でその効果を見るのは初めてのカイオラルだった。

(男と女の握力の差を補うためのものか……? この国ならではの工夫だな)

 だが、弱点もある。
 カイオラルはすっと身を翻してラーナの懐に飛び込むと、そのまま身を屈めて脇を潜り、背後に回り込んだ。

「くっ……」

 ラーナの動きが鈍い。予測していなかった動きだったためだろう。
 慌てて剣を振り上げたまま振り返ろうとするその手に握られた柄を、カイオラルはグイと掴んでラーナの指ごと裏側へと折り返す。

「ぐあああああっ!」

 こうされると指にかけた輪が仇となる。指が折れそうになったラーナは、ついに剣を取り落としてしまった。

 そのままラーナの首に両腕を絡めてカイオラルが締め上げる。
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