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逆襲のフィメス
第20章 目覚めたらそこに
 そうやって水中に身を隠してやり過ごすつもりかとラーナは思ったが、カイオラルは二度と姿を見せなかった。

 キーラたちが降りて来たときにはすでに彼の気配はなかった。おそらく掘の中を繋がる地下水道の中を抜けて脱出したのだろう。

「誰もいないじゃない……」

「ああっ、扉が開いているぞ!」

「鍵が挿しっぱなしになっているわ。ラフィン、貴女……ちゃんと閉めたはずよね?」

「えっ……あ、ああ」

「馬~鹿、お前らが鍵を抜き忘れたんじゃねえか。俺は見てたぜ……」

 ラーナは咄嗟に嘘を吐いた。

「ラフィン、そうなの?」

「えっ……ええと……そ、そうかも」

 自信なさそうに答えるラフィン。

「どうせ、他事でも考えてたんだろ……お楽しみとかをよ……」

 ラーナは更に減らず口まで叩いてみせる。

「うるさいわね! 貴女には関係ないでしょ!」

 キーラはそう言って、扉をバタンと閉め、今度はしっかりと施錠を確認する。

「さ、行きましょ……ラフィン! これでも今夜は誰にも邪魔されないわよぉ……」

 遠ざかる二人の足音。
 ラーナはほっと息を吐いた。

(カイオラルを庇ったわけじゃない。事がバレたら俺にまでとばっちりが来るからな。だからだ……)

 そう自分に言い聞かせる。

それにしても、とラーナは先ほどの出来事に思いを巡らせる。

(何が命令だ……ふざけやがって。この俺からアイツの所に出向けだと?)

 誰が行くものか。
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