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逆襲のフィメス
第21章 白百合黒百合
「あ、う……ああ……め、命……令?」

「そうだ」

 ラーナは頷きながら、少しだけソフィアの事を不憫に思った。

(この反応……ソフィアの奴、今までに一度も命令されたことがないな……)

 クイーントリスに、パートナーとして指名されたことがないのだ。ただの一度も。そうやって五年もの歳月を過ごして来たのか。

(憐れな女だな……ソフィア)

 そんな憐憫の情と共に、ラーナ自身の胸にもチクリとした痛みが甦る。

 ラーナもまた、五年の歳月を過ごして来た。あのめくるめく官能の一日のあと、あの男は二度とラーナの前に現れることはなかった。

 その孤独が、その想いが。
 やはり五年ぶりに再会したソフィアを見た時に燃え上がっていた。
 得ようとしても得られぬ男。その男を知る前までの想い人だったソフィア。
 手の届かぬ存在だった彼女を堕としてみれば、満たされるだろうか。

 満たされるだろうか……。

 そんな問いかけが、愛撫となる。

「そうだ、命令だ……命じてやる。ソフィア。今夜、お前は俺の恋人……今夜だけはその心と身体を俺に捧げるのさ」

「あ……あ……ラ、ラーナ……」
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