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第22章 罠に堕ちた女

（ラーナが……私に……？）

　考えた事もなかった。
　いつからなのだろう。ずっと昔？
　戦士学校で過ごしたあの日々の頃からラーナは自分の事をそんな風に思っていたのだろうか？

　何かというとソフィアにつっかかり、困らせるようなことばかりしていたラーナ。そうだ。ずっとそうだった。あの最後の最後の日まで……。

　ふと、もう長い間思い出すこともなかった、ローメールからの客人の接待のことが思い出された。

（彼……名前はなんといったかしら？　確か……）

　そうだ。
　カイオラル。
　あの男との間に起きた決闘事件。ラーナのあの行動も、自分となにか係わりがったのだろうか？

　ぼんやりとそんな思いにふけりながら砦の門までやって来たソフィアは、そこで衛兵たちが剣呑な声で何か騒いでいる声に現実に引き戻された。

「それ以上ガタガタ言うなら捕えるぞ！」

「司令官がお前のような奴と知り合いな訳がないだろう！」

　屈強の門衛が二人、何者かを相手に怒鳴っている。