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第22章 罠に堕ちた女

　先ほど思い出していたばかりの男が目の前に現れた事実に信じらぬ思いを抱きながらも、奇妙な懐かしさが込み上げてソフィアは顔をほころばせて門まで駈け寄った。

「どうしてこんな所に……」

「ソフィア殿こそ、どうして……」

「私は軍務で。しかし、カイオラル殿は……？」

「ハハハ……私はラーナ殿に会いに。ローメールの行商隊の通行の問題でご相談をと……」

　辺境とはいえ、ここはフィメス領である。事前に連絡もせずにやって来たというのか？

　ソフィアは顔をしかめた。
　それを察したのか、カイオラルは言葉を足す。

「ええ、捕まってもおかしくない軽率な訪問ではあるのですが……こちらの指揮官がラーナ殿と知って懐かしさもあり、つい……」

　確かに。ソフィアはつい今しがたカイオラルの事を懐かしく思い出していたのでその気持ちは理解できた。

「相変わらず無茶をなさる方ですね……。そう言えばあの時もフィメスの下町で迷子になって……」

「ハハハハハ！　その節はソフィア殿にご迷惑をおかけしましたね！」