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逆襲のフィメス
第22章 罠に堕ちた女
 しかし、自分が連れてこようと来まいと、カイオラルはやって来てラーナと再会しただろう。であれば同じ事……いや、門で見て見ぬふりをして追い返させていれば良かっただろうか?

 しかし、もうここまで来てしまったのだ。今はもう、自分も立ち会って、不祥事が起きないように注意を払うことが出来ると考えるしかなかった。

「カイオラル!」

 案の定の、礼を失した呼び捨てでラーナは出迎えた。

 さすがに軍装をきちんと身に纏い、指揮官の体面としては申し分ない身なりを整えてはいたが。あまりにぞんざいな言葉使いにソフィアは顔をしかめる。

 しかしカイオラルは全く意に介した様子もなかった。そう言えば、かつての接待の間中、ラーナはずっとこうだった。

「ラーナ!」

 同じように親しげにそう応えて、ラーナに歩み寄り、抱き締める。

(え……?)

 そんな親愛の情の表現は奇妙だ。
 ソフィアですら男にそうされたら突き離して激怒するだろう。

 だが、ラーナは……そうでなくともあれほどの諍いをカイオラルとの間に起こしたはずのラーナは……。
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