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逆襲のフィメス
第4章 婚礼前の水浴
婚儀の日まであとふた晩。
村の皆に祝福されて、ログスと夫婦となる。そうしたら、その夜、ここに描かれるのだ……ログスの手で、契(ちぎり)の証が。
その甘い情景を想い、うっとりとしていると、突然、ピュウッと口笛の音がした。
「誰っ!」
慌てて水中に屈みこみ、裸身を隠す。
「ヒヘヘ……サヤ。こんな所で一人で水浴びなんかしてちゃ、危ねぇじゃねえか……」
下卑た笑い声を上げながら、すぐそばの茂みから姿を現したのはアンザロだった。
川向こうの隣りの村の男だ。村長(むらおさ)の息子のクセに悪さばかりしている厄介者。同じ年頃のはずだが、責任感があって誰からも慕われているログスとは正反対の嫌われ者だ。
「危なくなんかないわ……ちゃんと確認したんだから」
私は胸の内の不安と恐怖を押し隠して、強く言い返す。
「そうかあ? 水の中とか、よく見たか? 何がいるかわからねぇぞ」
そう言って、アンザロが岩の上からざぶんと川の中に飛び込む。
村の皆に祝福されて、ログスと夫婦となる。そうしたら、その夜、ここに描かれるのだ……ログスの手で、契(ちぎり)の証が。
その甘い情景を想い、うっとりとしていると、突然、ピュウッと口笛の音がした。
「誰っ!」
慌てて水中に屈みこみ、裸身を隠す。
「ヒヘヘ……サヤ。こんな所で一人で水浴びなんかしてちゃ、危ねぇじゃねえか……」
下卑た笑い声を上げながら、すぐそばの茂みから姿を現したのはアンザロだった。
川向こうの隣りの村の男だ。村長(むらおさ)の息子のクセに悪さばかりしている厄介者。同じ年頃のはずだが、責任感があって誰からも慕われているログスとは正反対の嫌われ者だ。
「危なくなんかないわ……ちゃんと確認したんだから」
私は胸の内の不安と恐怖を押し隠して、強く言い返す。
「そうかあ? 水の中とか、よく見たか? 何がいるかわからねぇぞ」
そう言って、アンザロが岩の上からざぶんと川の中に飛び込む。