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第23章 ラフィン凌辱

「はじまったか……」

　閉じ込められていた薄暗い独房の中でそうつぶやいたのはプレディティスだった。

　行商人というのは嘘で、彼はローメールの密偵として、砦の状況を探るためにわざと捕まっていたのだった。

　大きな音を立てて、独房の扉が破られ、ローメールの兵士が飛び込んでくる。

「よう、首尾はどうだい？」

「プレティディス殿！　ご無事で！」

「お陰様でな……危ない所だったが」

　昨日、スパイ行為を見つかって捕えられてしまったものの、プレディティスは今日の襲撃を知っていため、さほど心配はしていなかった。

　捕まったのが精夜祭の前夜だったというのも運が良かった。
　そうでなければ直ちに尋問を受け、命や作戦の遂行にかかわったかもしれない。

　縛られていた縄を切ってもらい、立ち上がる。

「どうぞ、剣を……」

「ああ。向こうの兵舎はもう見たか？」

　渡された武器を取り、プレディティスもまた襲撃作戦に加わった。