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ただ一つの一対
第5章 花園の鍵は
 
「叔父さん……?」

「いえ、最近の子は早熟ですし、初めてでなければ価値がないなどとは言いません。何も問題はないのですから……」

 菖蒲ではなく自分自身へ言い聞かせるように呟くが、菊の手は止まってしまっている。菖蒲は慌てて首を振ると、菊にたどたどしく訴えた。

「違っ……違うの! 誰かとこんな事したりしてないよ、あたし……初めてだよ。敏感だっていうのは、多分……その、あたし、自分で、してた……からだと思う」

 思わぬ菖蒲の告白に、菊は目を丸くする。いたたまれなくなった菖蒲は菊の胸に顔を埋めると、半ば投げやりに呟いた。

「叔父さんの事考えてたら、体が熱くて……どんな風にしてくれるのかなって思ったら、止まらなくなっちゃって……しょうがないじゃん、好きなんだもん!」

 たった一言の告白で、菊の心を渦巻いていた靄は一瞬で晴れる。簡単な自分の心理の変化に自嘲すると、菊は菖蒲の淫芽を再び撫で始めた。

「好きだとは、この行為が? それとも僕が? どちらですか?」

「はぁっ、あ……そんなの、叔父さんがに、決まってる……んっ」
 
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