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ただ一つの一対
第5章 花園の鍵は
「ふぁっ、や、あぁ……叔父さ、あああっ!」
か弱く鳴いてはいても、潜むのは獰猛な獣の牙。菊は噛みつかれる刺激に逆らわず、深くで白濁を吐き出す。菖蒲も同時に極まり、ベッドに身を沈ませた。
「はあっ、あぁ……」
ひくひくと余韻に震える秘裂から、菊の出したものが溢れる。欲が引いた頭でそれを見て、菊は自分のした事の重大さに気が付いた。
「――すいません、つい、中に……病院に連絡して、アフタービルを配達させて――」
自分の体質が体質だけに、菊はいつも投げやりで中へ出していた。どれか当たれば儲けもの、などという無責任な考えだったのだが、菖蒲は特別である。後戻り出来ないとはいえ、濃い血縁である事実は覆せないのだから。
「ううん、いらない……このままがいい」
だが菖蒲は起き上がろうとする菊の腕を掴み、足を腰に絡めて引き止める。快楽にとろけ、潤んだ瞳。乙女の色に染まる頬。しかし、言葉と共に漏れるのは、熱っぽい吐息。離れがたい色気に、菊の中の黒い何かが、甘く囁いた。
父と母が心体ともに一対ではなかったように、心から愛した女が、都合良く子を生める体である可能性など奇跡に近い。どうせ誰とも合わないのなら、欲望のままに動いていいではないかと。