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ただ一つの一対
第6章 夢の終わり
初めて気を遣ってくれたのが、美和子を道具のように都合良く扱おうと迫る男。惨めな自分の人生に乾いた笑いがこぼれるが、それもすぐに菊の手で払われた。
菊は奥に挿入したまま、ほとんど動かない。わずかに腰を回し緩い快感を与えるが、絶頂へ向かおうという気配はなかった。入れたまま唇を重ね胸を揉みしだき、美和子を焦らす。
「あ……動いて、くださ、んっ」
美和子は自分で腰を揺らし快楽を得るが、それだけでは足りない。ゴム越しの肉棒は熱さが足りず、美和子の体には物足りなかった。
「僕は、あまり激しいのは好きじゃないんですよ。いいじゃないですか、たまにはゆっくり、こんな風に身を寄せ抱き合っても」
固くなった乳首を弾き、菊は悪戯めいた笑い顔を見せる。だが、美和子にとってそれは激しくされるよりも辛い拷問だ。菊は美和子が自分から腰を振るのを止めはしないが、自分からは決して動こうとしなかった。
どうすれば、菊が望む快楽を与えてくれるのか。美和子は腰を揺らしながら、知恵を絞り出す。だが曇りのかかった頭では、いくら考えても答えは出なかった。