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ただ一つの一対
第4章 花園への道
仕事を終え、部屋に戻ったのは日が暮れてからだった。リビングでは菖蒲と成実がDVDを見ながら、のんびりと過ごしていた。
「叔父さん、おかえり……って、その頬どうしたの!?」
「いえ、大した事はないのでご心配なく。菖蒲は、何を見ていたんですか?」
「うん……今流行ってる漫画の実写映画。成実さん、詳しいんだよ」
テレビに目を向けてみれば、学生服を着た少女と、教師らしきスーツの青年が教室で抱き合っている。成実はそれを見ながら涙を流し、ハンカチを握りしめていた。
「この作品は、先生と生徒の禁断の恋の話なんスよ。振られても振られても諦めないヒロインの一途さが全国の女子高生のハートをキャッチっス!」
ちょうどクライマックスなのか、気持ちを受け入れた教師の顔が女子生徒に近付いていく。
『少女を女にしたくないなら、余計な詮索はしないように』
片倉の言葉が頭に響き、菊は慌ててDVDを停止させてしまう。
「若、突然何をするんスか! 今一番いいところなのに!」
「菖蒲のお守りを頼んだのに、お前の方が楽しんでどうするんです! もう少し実になるものを見せたらどうですか」