この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
身代わり愛
第2章 キモチ
―――午後6時。
駅は、帰宅ラッシュで荒れてきた。
いつもならこの時間に合わないように早めに帰っているので、この人の数にぞくりとする。心のどこかで会えないんじゃないかなって思ってたりしている。
「…ほんと、素直じゃないよ」
今はまだ、素直になれない。
というか、なれそうにないんです…。
人がぶつかるのが当たり前の帰宅ラッシュ。ドスンっ!とぶつかりバランスを崩したあたしは不抜けた声を出しながら転んだ。
もちろん、すみませんもなく通り過ぎたのだった。
「痛っ…」
よく見たら膝からちょっとだけ擦り傷が出来ていた。小学生以来の膝の怪我で、なぜがちょっと焦った。
あぁ…どうしよう…。
一回ここを離れるしかないかな。
いや、でも会えなかったら嫌だなぁ…。
試行錯誤の結果、そのまま待つことに。
ヒリヒリとした膝に痛みを覚えながら、携帯を見ていた。
―――